院長の石橋です。当院には、毎日ありがたいことにたくさんの患者さまがご来院いただいておりますが、入れ歯のお問い合わせの患者さまからまれに「インプラントでもお願いできますか?」とか「先生はインプラントをもともと専門にやられていたのでは?」と聞かれることもあります。
もちろんインプラントでもまったく問題ありませんし、インプラント治療に長年携わってきたのもその通りなのですが、今回は、私が長年インプラント治療に携わってきた中で、現在はそれだけではなく、入れ歯治療にも力を入れ始めるようになったきっかけをお伝えしたいと思います。
目次
新卒でインプラント治療で有名な歯科医院へ勤務
歯科大学を卒業して最初に勤務した歯科医院が、全国でもインプラント治療で有名な歯科医院でした。日本でいち早くインプラント治療を導入しただけではなく、本場スウェーデンでの現地研修など、日々進化するインプラント治療の技術もしっかり習得することで、多くの患者さまから評価いただき、症例数もとても多い院でした。
症例数が多ければ多いほど技術も向上しやすいため、私自身もインプラント治療のセミナー講師なども務める機会も多くありました。
インプラントが打てない場合に、入れ歯で苦労するケースが出始める
15年勤務医として働いたあとに石橋歯科デンタルクリニック大泉を開院しました。もちろんインプラント治療は自信をもってご提供してきましたが、たとえば患者さまの顎の骨がない(溶けている)といった場合などは、当然インプラントが打てないため、入れ歯になることがあります。また、失った歯の本数が多いと、費用的にも難しい場合も出てきます。
検討の結果「入れ歯にする」という選択をしたとき特に下の総入れ歯は難易度が高く、どうしてもうまくいかないこともあり、患者さまが増えれば増えるほどそういったケースが増えてきました。
「入れ歯治療は難しい、くやしい」「でもインプラント打てない方は入れ歯しかないからなんとかしたい」と考えていたときに、入れ歯治療の素晴らしい先生に出会ったのです。
深水皓三先生との出会い
入れ歯治療の技術を高めるためにいくつもの入れ歯治療のセミナーに参加し、それでもうまくいかないと悩んでいたときに、ある方から深水皓三先生のセミナー(現在は行われていません)をご紹介いただきました。これまでのセミナーと違い、実際に治療をされている内容を1から学べるということもあって参加したのですが、これがまったく今までの概念と違う入れ歯の作り方だったのです。
深水先生の入れ歯は型の取り方、歯の並べ方、調整、研磨、どれをとってもとにかく繊細でした。また歯科医師だけではなく、歯科技工士(実際に入れ歯を作る国家資格)との連携も非常に大切にされていて、歯科医師だけではなく歯科技工士も高い技術で関わることの重要さなども改めて痛感しました。
深水先生の入れ歯治療後、先生の入れ歯でその日のうちになんでも食べられるようになった患者さまをみたときに、「この技術だったら患者さんを救える!」と感情が高ぶったことを今でもよく覚えています。
すぐに明らかにいい結果が出た
ありがたいことに、深水先生のもとで一緒に学んでいた歯科技工士の方とパートナーとして組むことができ、すぐに新しい技術で患者さまの入れ歯づくりに取り組みました。すると、明らかにいい結果が出たのです。
もちろんインプラントはしっかりと自信をもって対応できます。ただ基礎疾患、費用、骨の問題等でどうしてもインプラントを打てない患者さまは、これまでは自信をもって治療ができませんでした。でも、今はインプラントがダメでも入れ歯で救える!むしろインプラントより入れ歯が合っている患者さまには最初から入れ歯で最高の治療ができる!そういう思いで、現在入れ歯治療にも力を入れています。
総入れ歯はもちろん部分入れ歯でも効果あり
総入れ歯の場合はもちろん明らかに結果が変わったのですが、部分入れ歯でもこれまで想像できなかった治療や歯の固定の仕方を発想できるようになり、より残っている歯(残存歯)にとって負担の少ない部分入れ歯づくりが可能になりました。
インプラントよりも入れ歯がおすすめ?
入れ歯も高い技術で治療できるのですが、入れ歯がインプラントよりも優れている、とかおすすめといったことはありませんし、逆もありません。
当院としては、治療のバリエーションが増えたと考えています。インプラントでも入れ歯でも、自信をもって治療をご提供できる数少ない歯医者だと自負しております。
もちろん患者さまによっては、どちらがおすすめということはあります。たとえば、お口のケアなどが苦手な方にとっては、インプラントよりも入れ歯の方がお手入れが楽なので、長く快適に過ごしていただけるのではないかと考えています。
まだ入れ歯治療に自信がもてなかったころの患者さまには、「いま来てもらえたら・・」と少し申し訳ない気持ちにもなりますが、今は、入れ歯治療の技術をさらに向上させ、一人でも多くの患者さまに喜んでいただきたいと思っています。